金庫は貴重なものを保管することが多いでしょう。その分、頻繁に開け閉めされないことから、開け方の手順を忘れてしまうことや暗証番号忘れ、鍵の紛失といったトラブルがあります。こちらでは、金庫があかないといったトラブルで困っている方に役立てていただける情報をお伝えします。
■基本的な金庫の開け方
金庫のカギには種類があり、それぞれ開け方が異なります。代表的な金庫の種類と、それぞれの開け方について解説します。
ダイヤル式
・ダイヤル式金庫とは
ダイヤル式金庫は一般的な金庫タイプのひとつです。側面に0~99の目盛が付いたダイヤルが搭載されており、個体ごとに設定された正しい番号に合わせることで開錠します。また、扉を開けるには、付属のキー(差し込む鍵)が必要です。
・ダイヤル式金庫の開け方
ダイヤル式金庫では、決められた番号・決められた順場で目盛を合わせることで開けられます。注意しなければならないのが、回す方向と回す回数です。
例として、「12-34-56-78」という暗証番号が設定されているダイヤル式金庫を想定しみましょう。
まず、鍵穴にキーを差し込みます。
ダイヤル式金庫は、「右に4回-左に3回-右に2回-左に1回」といった方向と回数で各暗証番号を合わせることで開錠できます。つまり、「12-34-56-78」の場合は、
1.右方向で12に4回
2.左方向で34に3回
3.右方向で56に2回
4.左方向で78に1回
と回す必要があります。
すべての暗証番号に正しく合わせ、差し込んだカギを右に回すと扉が開きます。
キングスーパーダイヤル式
・キングスーパーダイヤル式金庫とは
キングスーパーダイヤル式金庫は、ダイヤル式金庫と同じでダイヤルの目盛を合わせて開錠する金庫です。ダイヤル式と比較してダイヤルを回す回数が少ないため、スピーディーに開錠できます。
・キングスーパーダイヤル式金庫の開け方
暗証番号が「12-34-56-78」の場合の開け方を解説します。
まず、キーを鍵穴に差し込みます。
キングスーパーダイヤル式金庫は、各暗証番号に1回ずつ目盛を合わせるだけで開錠可能です。「12-34-56-78」の場合は、
1.右方向で12に1回
2.左方向で34に1回
3.右方向で56に1回
4.左方向で78に1回
と合わせてください。その後、キーを右に回すと扉が開きます。
テンキー式
・テンキー式金庫とは
テンキー式金庫とは、扉に搭載されたパネルの数字ボタンを押して開錠するタイプの金庫です。暗証番号は2~16桁程度で自由に設定できます。
・テンキー式金庫の開け方
「1-2-3-4」という暗証番号が設定されている場合、まず付属のキーを鍵穴に差し込み、
1.1のボタンを押す
2.2のボタンを押す
3.3のボタンを押す
4.4のボタンを押す
その後、カギを回せば扉が開きます。鍵が付属しておらず最後に「#」「Enter」を押すタイプなど、製品によって違いがあります。
■金庫が開かない場合の対処法
上述した一般的な開け方でも金庫があかない場合は、以下のような対処法をお試しください。
番号をリセットする
間違った番号を入力してしまった場合は、一度リセットする必要があります。リセットの方法は金庫の種類によって異なるため、それぞれ覚えておきましょう。
ダイヤル式金庫では、ダイヤルを右に4回以上回すとリセットされ、番号が入力されていない状態に戻ります。キングスーパーダイヤルはダイヤルを右に1周させるだけでリセット可能です。
最初に暗証番号を入れる際は、意図しない番号が入っている可能性があるため、一度リセットしておくことをおすすめします。
電池を交換する
テンキー式金庫の場合、電池切れによって金庫が開かなくなっていることも考えられます。ボタンを押しても反応がない場合、電池切れを起こしているかもしれません。金庫によっては、電磁残量の減少をランプで教えてくれるものもあります。
扉を押しながら開錠する
金庫の中に多くのものを詰め込みすぎて、扉が圧迫されることによって開かなくなることもあります。
番号や鍵が間違っていないのに金庫が開かない場合は、扉を外側から押しながら鍵を回してみましょう。内部からの圧力が緩和され、鍵が回るようになることがあります。比較的小型の金庫であれば、ダイヤル面を上にして内部からの圧力を下げることも可能です。
■どうしても金庫があかない時は
そもそも暗証番号がわからない、鍵をなくした、といった理由で金庫を開けられない場合は、別の対処法が必要です。それぞれのケース別の対処法をご案内します。
暗証番号がわからない時
・メーカーに照会を依頼する
金庫の暗証番号は、あらかじめ個体ごとに設定されているケースがほとんどです。暗証番号を忘れた場合、確認するためにはメーカーに照会を依頼する以外の方法がありません。
照会の方法はメーカーによって細かく異なりますが、以下のような書類を提出して依頼するのが一般的です。
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- 金庫の製造番号
- 所有者(依頼者)の身分証明書
- 照会の依頼書
これらの書類を郵送し、メーカーが確認すると、暗証番号が記載された書類が返送されてきます。一般的に、返送までは1~2週間かかり、それまで金庫を開けることはできません。
・非常キーを利用する
テンキー式金庫の場合、非常解除キーが付属していることがあります。暗証番号を忘れた場合でも開錠ができるため探してみましょう。また、非常解除機能が搭載されていることもあるため、一度マニュアルなどを読んでみましょう。
鍵をなくした時
鍵をなくした場合は、メーカーに連絡すると取り寄せることができます。
暗証番号の照会と同じように、以下のような情報を伝える必要があります。
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- 金庫の製造番号
- 所有者(依頼者)の身分証明書
- 照会の依頼書
新しい鍵が送られてくるまでに時間がかかるため、急いでいる場合は別の方法を考えなければなりません。
■金庫の破壊開錠は可能?
あかない金庫をどうしても開けたい場合、金庫の破壊を考える方も多いのではないでしょうか。以下では、金庫の破壊開錠についてご案内します。
金庫の破壊は危険・不可能
まず、金庫の破壊は可能なのでしょうか。
結論を言えば、金庫の種類によっては可能です。しかし、自分で行うのは危険であるため、おすすめできません。無理に行うと怪我をしてしまう恐れがあるほか、失敗してしまうことも考えられます。
また、防盗金庫などは堅牢に作られているため、プロの鍵業者でも破壊に相当な労力を要します。
破壊可能な金庫
以下のような金庫は、自分で破壊することも不可能ではありません。破壊開錠したい場合は、危険や失敗する可能性を十分理解した承知した上で行ってください。
・手提げ金庫
金属の持ち手が付いた小型の手提げ金庫は、それほど堅牢な設計になっていないため、比較的簡単に破壊開錠が可能です。
フタの隙間から棒などを差し込んで、無理やりこじ開けることで開きます。使う道具はバールが最適でしょう。バールの先端をフタの隙間に差し込み金庫が動かないように固定した状態で、テコの原理を利用してこじ開けてください。開いた瞬間にバールが飛んでいかないように注意しましょう。
・小型の耐火金庫
堅牢な扉が付いた耐火金庫などは、小型のタイプでも破壊が困難です。どうしても破壊して開けたい場合は、比較的脆い蝶番の部分を切り落とします。
切断には、サンダーやグラインダーなどの電動工具が必要です。こうした工具を使用しても時間がかかるほか、ミスすると怪我をする恐れがあるため十分に注意してください。
金庫の破壊に必要な道具
金庫の破壊には、以下のような道具が求められます。
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- バール
- サンダー(グラインダー)
いずれも取り扱いに注意が求められますので、くれぐれも安全に配慮して作業を行ってください。
■専門業者に依頼して金庫を開けてもらう
金庫があかない際の第一選択になるのは、専門業者の利用です。プロが作業を行うため、ほぼ確実に開錠できます。
業者に依頼するメリット
業者に金庫の開錠を依頼すると費用が発生します。一方で、安心で確実な方法であることは事実です。
以下では、業者に金庫開錠の依頼をするメリットをご紹介します。
・メーカーに問い合わせるより早い
上述したとおり、鍵をなくした場合や暗証番号がわからない場合は金庫のメーカーへの問い合わせが必要です。少額の費用負担で済みますが、鍵や暗証番号の書類が送られてくるまでは時間がかかります。
一方で業者に金庫の開錠を依頼すると、すぐに現場に駆けつけ作業を開始します。開錠までの時間は金庫の種類にもよりますが、メーカーに問い合わせるよりかは中のものを早く取り出せるでしょう。
ただし、金庫の開錠は専門性が高く、プロでもある程度の時間を要します。
・金庫をそのまま使える
破壊を検討している場合も、一度専門業者に相談してみることをおすすめします。
少し作業時間がかかりますが、金庫をそのまま使うことも可能です。ただし、速やかに開けたい場合は予想される作業時間を提示した上で、破壊開錠を案内することもあります。
業者に依頼した場合の料金相場
業者に金庫の作業を依頼した場合、どの程度の費用が発生するのでしょうか。作業内容別の相場をご紹介します。
・ダイヤル式金庫のダイヤル番号不明
ダイヤル式金庫のダイヤル番号がわからない場合、3,980円~の費用が発生します。オートダイヤラーという機器を用いて番号を自動的に照合するため、半日程度で開錠が可能です。
・テンキー式金庫の暗証番号不明
テンキー式金庫があかない場合さまざまな理由が考えられます。暗証番号がわからない場合、12,800円〜の費用が発生します。
・ダイヤル式金庫の鍵の紛失・番号不明
ダイヤル式金庫で鍵を紛失し、暗証番号もわからない場合は、3,980円~の開錠費用が発生します。鍵作成を希望する場合、別途費用が必要です。
■金庫の鍵について知っておきたいポイント
トラブルを未然に防ぐために、金庫の鍵について知っておいていただきたいポイントをご紹介します。
番号変更の方法
多くの場合、金庫はあらかじめ暗証番号が決まっています。しかし、職場で金庫を管理していた方が退職する場合など、金庫の暗証番号を変えておきたいケースもあるでしょう。
テンキー式金庫の場合は、簡単に暗証番号の変更が可能です。
まずは、現在の暗証番号を入力し、通常どおり開錠してください。続いて、製品ごとに設定されている番号設定のためのボタンを押しましょう。その後、新しい暗証番号を入力します。さらに設定ボタンを押すと、設定完了です。
製品によって細かな違いはありますが、一般的にこのような方法で暗証番号を変更できます。
ダイヤル式の場合は、暗証番号の変更ができないものも多いため注意が必要です。また、変更する場合は座と呼ばれる部品を取り外すデリケートな作業が求められるため、専門業者に依頼することをおすすめします。
電池交換の方法
テンキー式金庫は電池で稼働しています。電池切れの状態だと開錠できなくなるため、定期的な電池交換が必要です。
電池パックは、扉の外側、もしくは内側に付いています。通常はフタがネジ止めされているため、ドライバーなどで外してください。中の電池を交換し、再度フタをネジで固定しましょう。
注意しなければならないのが、電池パックが内側にあるタイプのテンキー式金庫です。電池切れになると、扉を開けることも電池を交換することもできません。そのため、定期的な電池交換を怠らないようにしましょう。ボタンを押した時の音が弱くなってきた場合は、電池が消耗しているサインです。
内側に電池パックがあるタイプの金庫が電池切れを起こすと、開錠するのは困難です。緊急キーもない場合は、鍵の専門業者に相談しましょう。
金庫があかないトラブルについての関連情報をお伝えしました。金庫には重要なものが保管されていますが、それほど頻繁に開け閉めすることはないでしょう。最後に開けてから長い期間が経過していることが多いため、暗証番号を忘れてしまった、鍵をなくしてしまったといったトラブルが多発しやすいです。扉があかないと焦ってしまった場合は、一番スピーディーで確実に解決できる鍵の専門業者を利用しましょう。