【種類別】金庫の鍵が開かない原因や対処方法、業者依頼のポイント

鍵の付いた金庫

金庫から貴重品を取り出したいときに、開かないとなると焦ってしまうでしょう。こちらでは、金庫の鍵が開かない場合の対処法を金庫の種類別にご説明します。鍵の業者を利用する方法についても解説しますので、参考にしてください。

主な金庫の種類

金庫が開かない場合の対処法をご説明する前に、まずは金庫の種類について知っておきましょう。ご自身の金庫がどのタイプなのかを確認してください。

手提げ式金庫

手提げ金庫は、上部に持ち手が付けられていて、持ち運びが想定された金庫です。据え置きタイプの金庫と比較すると小型であり、多くの物は入りません。一方で出し入れが簡単なため、お金や印鑑といった頻繁に使用する物を収納しておく金庫として便利です。

ただし、防犯性や耐火性には優れていません。金庫ごと盗まれてしまうことが考えられるほか、破壊して簡単に開錠されてしまいます。このことから、大切な物を入れておく金庫としては適していません。

シリンダー式金庫

シリンダー式金庫は、専用のシリンダーキーを差込んで回すだけで開錠できる金庫です。金庫の開錠方式のなかでも、最もシンプルなタイプと言えます。近年はピッキングに強いディンプルキーが採用された製品も多く、防犯性が向上しています。開閉が簡単なため、1日のなかで何度も金庫を開けるような場合には最適な金庫です。

ダイヤル式金庫

ダイヤル式金庫は、0~99の目盛りが設けられているタイプの金庫です。ダイヤルを回し、正しい番号に正しい順番で合わせると金庫が空きます。比較的小型サイズのものが一般的です。

シンプルな構造のため、長く使用できるタイプの金庫です。電子的な開錠方法ではないため、電池切れを心配いりません。

一方で、ダイヤルを合わせる作業が必要です。金庫を頻繁に開閉する現場には向いていません。また、暗い場所での使用は、目盛りを合わせづらいため難しいでしょう。

テンキー式金庫

テンキー式金庫は、1~9のボタンが配置されたパネルがある金庫です。付属の鍵を鍵穴に差込み、番号を正しい順番で入力すると鍵が回るようになり、金庫が開きます。

電子的な機構を採用した金庫であり、複雑な作業を行わなくても開閉できる点は魅力です。一方で、電池が切れると開かなくなってしまうため、常に電池残量に注意する必要があります。

マグネット式金庫

マグネット式金庫は、磁力を利用した金庫です。付属のマグネットキーを近づけると、簡単に開けることができます。数ある金庫の種類のなかでも、特に開錠が簡単なタイプです。

開け締めを頻繁に行う場合に使い勝手が良いでしょう。ただし、マグネットキーを作成できるのは原則としてメーカーのみです。また、防犯性能を大きく鍵に依存しているタイプのため、鍵の紛失には十二分に気をつける必要があります。

ICチップカード式金庫

ICチップカード式金庫は、付属のICカードをかざして電子的に開錠するタイプの金庫です。スマートフォンで開錠できるタイプや、「Suica」などのICカードを開錠用カードとして設定しておけるタイプもあります。

カードさえあれば開けられる手軽さが魅力です。一方で、他の電子式な金庫と同様に、電池切れには注意が求められます。

生体認証式金庫

生体認証式金庫とは、人間の一部を鍵として利用する金庫です。一般的には、指紋を読み取らせて開錠します。

利用者の体を鍵として使用するため、鍵を紛失する可能性は皆無です。近年は読み取りの精度も向上しています。このタイプの金庫もやはり、電池切れには細心の注意を払わなければなりません。

金庫の鍵が開かない主な原因

以下では、金庫の鍵が開かなくなる主な原因をご紹介します。

鍵の故障

鍵に物理的な故障が起きて、開かなくなっていることが考えられます。通常、金庫の鍵は頑丈な設計になっていますが、なんらかの衝撃・負荷が加わると故障してしまう可能性は否定できません。テンキー式、ICチップカード式など電子的な金庫の場合、電子回路の部分で故障やエラーが起きていることもあります。

電池切れ

電気を使う金庫の場合は、電池切れに注意しなければなりません。電池ケースは通常、操作パネルの下などに設置されています。しかし、扉の内側に電池ケースがあるタイプの場合、電池切れを起こすと開けることは困難です。

金庫を開けていなくても電池は少しずつ減っていきます。万が一の事態を防ぐため、金庫の電池は定期的な交換が必要です。

経年劣化

経年劣化も金庫が開かなくなる原因のひとつです。鍵の摩耗、鍵穴内部のサビなど、使い続ける限り劣化は避けられません。金庫は頻繁に買い換えるものではないですが、少しでも不調が目立つようになってきた場合は早めに新しいものを購入しましょう。

中身の詰めすぎ

金庫の中に物を詰め込みすぎると、開かなくなるケースがあります。

これは、中からの圧力により扉を固定するデッドボルトという部品が動かなくなってしまうことが原因です。この状態で無理にカギを開けようとすると、鍵や金庫が破損してしまうことがあるため注意しましょう。

金庫の鍵が開かないときの対処方法

以下では、鍵が開かなくなったときの対処法を金庫の種類別に解説します。

手提げ式金庫

手提げ式金庫は耐久性が低いため、比較的簡単に破壊開錠が可能です。ハンマーで叩く、バールをフタの隙間に刺しこんでこじ開けるといった方法があります。ただし、失敗すると状況が悪化することがあるほか、危険が伴うためおすすめはできません。

シリンダー式金庫

シリンダー式金庫はシンプルな仕組みの一方で堅牢に作られているものが多く、破壊開錠は困難です。自分で開錠するのは困難なため、専門業者のサービスを利用しましょう。

業者であれば、金庫を破壊せず開錠できます。鍵を紛失している場合は、併せてスペアキーの作成も依頼してください。

ダイヤル式金庫

ダイヤル式金庫も鍵の専門業者に依頼することで開けられますが、専門業者に依頼する前に以下の点を自分で確認してみてください。

番号は合っているか

合わせたダイヤル番号が正しくないため、開錠できないケースは少なくありません。落ち着いて番号を合わせてみてください。

ダイヤルをリセットできているか

ダイヤル式金庫で番号を合わせる前には、リセットの作業が必要です。一般的には、右に5~6回転させるとダイヤルがリセットされます。その後、改めて番号を合わせてください。

テンキー式金庫

テンキー式金庫でも、まず入力番号が正しいことを確認することは基本です。またダイヤル式金庫と同じように、番号リセットの処理を行ってから番号入力を開始する必要があります。数字の入力に時間をかけすぎると、勝手にリセットが行われてしまうケースがある点にも注意が必要です。

また、非常開錠用の鍵が付属している製品もあります。番号がわからない場合なども非常開錠用の鍵を利用すれば開錠できるため、探してみてください。

マグネット式金庫

マグネット式金庫は、経年使用による磁力の低下によって開かなくなるケースがあります。夏場の期間やストーブの近くなど、高温の環境では特に磁力が落ちやすいようです。

解決策として、鍵の強力な磁石に接触させる方法があります。磁石の力によって、鍵の磁力が回復することがあるのです。鍵の磁力が完全に失われている場合は、この方法では解決できません。

ICチップカード式金庫

ICチップカード式金庫が開かない場合は、まずは設定を確認してみましょう。もしかすると、カードを読み取らない設定になっている場合があります。

反応がない、パネルに何も表示されない場合には、電池切れの可能性もありますので電池を交換してください。

生体認証式金庫

生体認証式金庫の製品によっては、読み取りの精度が低く、開錠に苦労することがあります。指紋が正常に読み取れない場合は、パネルや指先の汚れを拭き取ってから試してみてください。水分や油分も読み取りの妨げになるケースがあります。

金庫によっては、指先の圧力や温度が関係してくることもあります。反応がない場合は、少し強く押し付けてみましょう。また、手を温めてから再度試すと、開錠されることがあります。

なお、カギを開けられる人が限定されていると、本人が亡くなった、事故や病気の場合に、誰も金庫を開けられなくなってしまう可能性があります。万が一の場合に備え、代理人の指紋を登録できる機能が搭載されている製品を選ぶと安心です。

金庫の合鍵を注文するときのポイント

金庫の鍵をなくしてしまった場合は、メーカーに連絡すると取り寄せることができます。メーカー純正の鍵が届くため、安心感がある方法です。

しかし、発注してから鍵が届くまでは1週間程度かかります。「今すぐ金庫を開けたい」といった緊急の要求には対応できません。

“金庫の鍵開け”を業者に頼むときのポイント

鍵の専門業者に金庫の開錠を依頼する方法もあります。

緊急の依頼に対応してくれる点が魅力です。メーカーに鍵を注文する方法よりも、はるかに早く開錠できます。基本的に破壊せずに開ける方法を提案してくれるため、「破壊するしかない……」と諦めていた場合もおすすめの方法です。

金庫の鍵開け業者の選び方

金庫の鍵開け業者を選ぶ場合は、ホームページに金庫の鍵開けを行った事例が掲載されているか確認してください。

また、料金体系が明確な業者がおすすめです。曖昧な料金体系しか掲載されていない場合が、作業員が現場に着いてから高額な見積もりを提示されることがあります。見積もり後のキャンセル料の有無についても確認しておきましょう。

基本的に「金庫が開かない」という事実に気づくのは、金庫から何かを取り出す必要があるときです。すぐに開錠したい場合は、落ち着いて鍵の専門業者に相談してください。

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